帰国事業の痕跡をたずねる3〜札幌大通公園の集団帰国碑〜
札幌に来ています。
以前、わたしは札幌にほんの短い間でしたが住んでいました。
大通公園に帰国事業で集団帰国した際の記念碑があると知人に聞いたことがあって
こちらに来たときにはぜひ見に来たいと思っていました。
大通公園は札幌市の象徴的存在。テレビ塔のある大通西1丁目から札幌市資料館のある大通西13丁目まで東西に1.5キロもの長さのある公園です。
エリアごとに雰囲気も少しずつ違いますが、どこも訪れた人をスッと受け入れてくれる緑あふれる空間です。
記念碑のあるのは、西7丁目の南側。電話ボックスのうしろ。とてもひっそりとして、そこに在りました。
わたし、この7丁目あたりは好きで、札幌在住のときもよく来て、ベンチで本を読んだり珈琲を飲んだりしていたはずでした。
とくにこの電話ボックス。以前は赤を基調としたもので、素敵だなと思っていてとてもよく覚えているのです。
でも、記念碑の存在、まったく気づいていませんでした。
記念碑には
贈野村楓七本
朝鮮民主主義人民共和国公民
集団帰国記念
植栽 日策 種?造園業造園所
とあります。
1959年の12月14日が最初の帰国船が新潟港を出発した日ですから
その直前ですね。11月にセレモニーがあったのでしょうか。
野村楓とは、オオモミジ系の園芸品種。
海外では、朝鮮半島や中国にも分布するそうです。日本では江戸時代から武蔵野(ムサシノ)の古称で知られた伝統的な品種の庭木です。
でも、いま記念碑のまわりにあるのは
ユリノキ
イチイ
トチノキ
桜
で楓はないようです。
植えられてから58年もの歳月ですからね。
どういう経緯でいまは見当たらないのかわかりません。
札幌に戦後も暮らした朝鮮半島の人びとについては帰京してから調べてまた追記したいと思います。